Mohe Rang Do Laal

カタックが挿入歌に登場する映画と言えば、「Mughal-e-Azam」「Umrao Jaan」「Pakeezah」など往年のウルドゥー語映画、最近では「Devdas」「Vishwaroopam」などが挙げられる。2015年12月に公開された「Bajrao Mastani」の挿入歌 ♪Mohe Rang Do Laalは、パンディト・ビルジュー・マハーラージが振付けを担当され、フィルムフェアの最優秀振付賞を獲得し、話題になった。

♪Mohe Rang Do Laalは、背景をカメラに入れたかったのか、合成の都合か、主演女優ディーピカーの表情をフォーカスしたかったのか分からないが、バックダンサーたちが非常に小さくフィーチャーされている。「Devdas」などと比べると、あまり群舞が楽しめない演出になっている印象を受けるが、途中のパルメルー(*)や最後のラリーっぽいリズムには、マハーラージ師匠らしさが溢れていると思った。やはり、主演女優ディーピカーには、ヌリッタ(純粋舞踊)を振付けるのは難しかったらしく、バーオ(仕草や表情を用いた表現)を振付けることにしたそうだ。(*)鳥や動物の鳴き声を取り入れたリズミック・パターン。

↑すごい広角? 遠近法?


バックダンサーには、私のデリーのクラスメイトや、コルカタ、プネーなどを拠点に修行・活動しているダンサーが参加している。師匠はじめ周りの人から耳にした撮影秘話を、以下にご紹介する。


♪Mohe Rang Do Lal撮影秘話

■撮影は、2015年6~7月に10日間ほどかけてムンバイーのスタジオで行われた。→背景の湖や山は合成。

■歌詞の通り、ダンサーは、ラング(色の粉)を撒きながら踊っていたので、NGや撮り直しが出ると、衣装についた粉を払ってもらったり、床を掃除してもらうのが大変だった。

■スィタール奏者に扮しているのは、楽器のできない普通の人たち。彼らは、貴重品を手元に置いて撮影に臨んでいたため、撮影の合間には、セットの中に座ったままスマートフォーンをチェック。セットの上でのタイムリープ現象が見られた。


また、宮殿、噴水、スィタール、カタックという演出からは、「Mughal-e-Azam」の ♪Mohe Pangat Pe Nandlalを連想するインド映画ファンもいたのでは?


♪Mohe Rang Do Lal

♪Mohe Pangat Pe Nandlal

また、「Mughal-e-Azam」と言えば、挿入歌 ♪Pyar Kiya To Darna Kyaの振付けを、マハーラージ師匠の叔父様ラッチュー・マハーラージがご担当されていた。ここでもう一つ、マハーラージ師匠から教えて頂いた撮影秘話をここでご紹介しよう。

♪Pyar Kiya to Darna Kya撮影秘話

■イントロのチャッカル(旋回)は、ヒロイン・アナールカリーを演じるマドゥバーラーではなく、少年ダンサーがアナールカリーの衣装を着て回っている。

■ミラーが天井や壁に張り巡らされているセットなので、カメラやスタッフが映りこまないように、撮影クルーは苦労していた。


↓イントロのチャッカルのシーン。


↑壁から天井から全部キラキラ☆★

♪Mohe Rang Do Lalの撮影は、私が一時帰国していた間に行われたので、観に行けなくて残念だったが、クラスの前に行われたフィルムフェア受賞をお祝いするささやかなパーティーに参加できて、喜びをお裾分け頂いた。

改めまして、マハーラージ師匠、おめでとうございます!!


カタック・ダイアリー ♡ Kathak Diary

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