ホーリー(holii)は、北インドを中心に祝われるお祭りで、毎年ヒンドゥー暦のファールグン月(faalgun)の満月に、①春の訪れ、②勧善懲悪、③農民の豊作に対する感謝などを祝して、お祝いされると言われています。身分や地位、貧富の差を忘れて、知人であろうとなかろうと、町中、村中で、色とりどりの粉や色水を掛け合い、無礼講のドンチャン騒ぎをします。
これだけ聞くと、愉快で楽しいお祭りに聞こえますが、地域やコミュニティーによっては、バーング(bhaang/大麻)をミルクに混ぜて飲み、悪酔いする人々もいるので要注意!特に、デリーでは午前中は外出せぬが吉と言われています。大学の女子寮などでは、門が完全封鎖され外出禁止になるほど。特に外国人は狙われやすく、悪ふざけが過ぎて、その辺を歩いているだけで、水鉄砲や水風船攻撃を受けるほか、卵を投げられたというケースも耳にしました…!
また、ヒンドゥー神話の中の、勧善懲悪を象徴する逸話にちなんで、鬼女ホーリカー(holikaa)を、色遊びの前夜に焼き払う風習も見られます。さらに、カタックの歴史的な発展と深く関連するブラジ地方では、その土地特有のクリシュナ信仰、民謡、民族舞踊の3つが結びついて生まれたラース・リーラー(raas liilaa/舞踊劇)がホーリーの時期にも上演されているそうです。
私が習っている北インド古典舞踊カタックは、古代からヒンドゥー神話の伝承として、ブラジ地方付近で発展したこともあり、このホーリーにちなんだカタックの作品も、時代を超えて継承されてきたと言われています。
これまでカタックで踊られるホーリーの音源を聴いたことはあっても、どんな踊りなのかキチンと見たことがありませんでしたが、今年はデリーにやって来たことで、ホーリー祭のプログラムでそれを踊ったり、見たりすることができ、祝うために踊るという感覚、いかにカタックが生活に根付いて発展してきたのかを体感する機会になりました。
会場は、インド文化芸術センター(Bharatya Vidhya Bhavan)の野外特設ステージ。芸術的というよりも、お祭り的な舞台でした。
オープニングは、ミュージシャンによる演奏でスタート。数少ないカタック男子数名と、指名を受けた私たち女子数名は、舞台脇に色の粉と、子供用のお菓子やおもちゃを持って待機。音楽会が終わると同時に客席に「Holi hai!(ホーリー祭だ~!)」と叫びながら、客席を回り、色の粉を観客の皆さんの額につけて「お・も・て・な・し」しました。また、子供たちには、お菓子やおもちゃを配りました。
そして、舞踊のプログラムが始まるまでに、舞台袖に戻り、衣装を着替えてスタンバイ。子供たちの舞踊プログラムが終わると、マハーラージ師匠の作品が次々と踊られていきます。全曲、ご本人が舞台上で歌唱され生徒が踊るという、我々にとっては超贅沢な舞台でした!そして、最後は、マハーラージ師匠のソロ・パフォーマンス!初めてデリーの舞台に立つということだけで、緊張と興奮が冷めやらぬ一夜となりました!
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