Day 1 - FRRO (3度目のビザ延長編)

インドに180日以上滞在する外国人は、必ず外国人登録をしなくてはならない。このルールは、私が一番最初に留学した2007年にもあった。

当時のデリーにはインターネットや携帯電話はそこそこ普及していたものの、携帯電話の着信音は頑張っても三和音の時代。インターネットの回線が途切れることも、珍しくなかった。つまり、今のようにスマートフォンやら何やらテクノロジーはなく、オンラインやキャッシュレスなんて考えられなかった。

外国人登録をするためには、何が必要な書類なのかも、それらがどこで入手できるのかも分からないところから手続きが始まり、大学内の学部、留学生課、大使館、寮など、あちこちをたらい回しにされて、外国人同士でも情報をシェアしたり助け合って、かなりの時間をかけて、何とか完了できたものだった。

そんな感じだったので、学内の留学生課や外国人登録所の中は、この手続きのために朝から夕方まで長い列に並ばされては、あまり登録手続きが進まず、途方にくれる外国人で混沌としていた。また、並んでいる間の待ち方や態度もお国柄が出るもので、当時は世界の縮図を見ているような気分にもなった。

当時から比べたら、ここ数年、外国人登録のステップ1がオンラインで申請書を作成するところから始まり、必要な書類がある程度明記されていて、それらをアップロードして、日時を指定して予約が取れるという現状は、ある意味では、かなりの進化だろう。「ある意味進化」というのは、オンライン申請なのに、結局自分がアポを取って外国人登録所まで足を運んで、紙の原本の提出しなくちゃいけないため、このシステムをオンラインと呼べるのかは疑問だからだ。

外国人登録所では、学生ビザの更新も取り扱っている。私の学生ビザも、ここで更新しなければならず、毎年何かと問題が発生しては苦労している。ビザの更新も、一応のオンラインなのだが、このシステムも、年々微妙に変化している。今年はアポイントメントの日にちだけでなく、時間まで勝手に指定されるようになっていた。

ここでまず落とし穴になったのが、オンライン申請の画面では、日にちを指定する画面しか現れず、アップロード完了後も、営業時間は9:30-18:00ですみたいなメッセージが出るだけであること。自分では日にちだけを指定したつもりが、なんとPDF化された申請書の右上には、自動的に予約時間がプリントされるようになっている!!そして、そんな小さい表示にも関わらず、外国人登録所の最初の受付係が目ざとく確認しているので、いくら早く外国人登録所に着いても、待たされる。これは、今回外国人登録所に到着して並んでいる間、某大手商社のインド人のエージェントとの会話から明らかになった。

そして、このエージェントがまた超狡猾だった!私の申請書を横からチラ見して、アポイントメントが12:30だと分かると「先に並ばれていたから、あなたが先に受付されても構いませんけど、結局ハネられますよ。僕の受付時間は9:30だから問題ないけどね」と言って、横入りを試み始めた。

実は、私は朝8時から並んで、列の今回一番乗りだった。でも、この嫌味なエージェントのお陰で彼に列を譲らざるを得ない状況を招き、挙げ句の果てには彼の言った通り、この申請書に勝手に入っていたアポイントメント時間が12:30だったお陰で、窓口がオープンした9:30の時点では、受付係に受付を拒否された。

某大手商社の家族やその他の日本人駐在員や駐妻らが、インド人のエージェントを列に並ばせ、受付の順番が来ると登録所にやってきて、さっさと手続きを済ませていく。そして、私と一緒に並んでた彼らのインド人エージェントからは、「残念でしたねー」、「早く来たのにまた列に並ばれてお気の毒ですねー」的なことを言われる。まじで惨めな気持ちになってくる。とはいえ、申請書の隅まで見てなかったのは自分なので自業自得。

ちなみに、受付を待つ場所は室外で蚊が沢山いるし、扇風機は受付係のほうしか向いていない。ベンチが並べてあるけれど、そこを離れるとまた並び直しになるので、1人だとお手洗いや水を買いにも行けない。

悔しさをバネに雑草根性でゴネた結果、外の受付を通過して登録所の中に入れたのが10時すぎ。(登録所の外の受付では、書類の不備がないかだけ確認され、不備がなければ受付番号をもらうだけなので、書類の内容はさておき、書類の数があっていれば中に入れる。)

正直、今回でもう3度目のビザ更新。昨年までのルールだったら、一番に登録所に入れて、一度でビザ更新ができる万全な書類を準備していたが、その先に不幸な知らせが待っていた。

受付番号を持って登録所の中に入ると、今度は電光掲示板に表示された番号順に受付となる。(外にも中にも受付係がいるが、ただ無駄なフィルター作って雇用の機会を設けているだけ)中の受付係は、外の受付係よりはもう少し深く書類を見るが、これまた担当者によって全然違う対応。

私は運悪くイチャモン系の担当者にあたった。毎年、マハーラージ師匠が有名なことを逆手に取って何かしら足を引っ張ってくるヤツだ。そして、何と今年は、カラーシュラムなんていう学校は聞いたこともないねと言い始め、私の通っている舞踊学校カラーシュラムが内務省に登録されてないから、ビザの更新ができないと言われた…。

聞いたこともないですって⁉︎

これまでもあなたに受付してもらって更新できてましたけど!?

今年からダメなんてありえなくないですか!

3年前には、カラーシュラムが外国人登録所(FRRO)に登録されてないからって問題になって、登録手続きしたばっかでしょ!

…と主張するも、いやこんな学校聞いたこともないと言われ、さらにその担当者のボスにまで相談して、かなりの誘導尋問でボスにもダメと言わせてきた。


ビザは、今日まででした。
書類を整えて、期限までに更新に来たのに、更新できませんでした。

そして、以下のオプションをつきつけられました。
1) 内務省に登録された他の機関に入学する
2) 通っている舞踊学校を内務省に登録する
3) 帰国

私には、2)以外の選択肢はないから、内務省への登録の手順を教えてもらうように言ったけれど、お前には教えない、学校の人を連れてこいと言われ、ディーディーとアドミンをサポートしてるお兄さんに電話すると、緊張がほぐれたのか泣けてきました。隣りの窓口で手続き中の日本人駐在員の家族の視線をめちゃ感じました。

カラーシュラムでしか自分の踊りたいカタックが習えないから、わざわざ色んなものを捨てて日本からデリーまで来てることなんて、外国人登録所の担当者にはどうでもいいこと。でも、他の機関に入学してなんて簡単に言って欲しくなかった。帰国中も、色んな想いでやっとまた戻ってきたのに、そんな簡単に帰国しろなんて言われたくない。


…そんな悲しい気持ちで、クラスに向かうと、何も言わなくてもディーディーが開口一番話を聞いてくれて、これからの作戦を立ててくれた。さらに、こんな状況なのに、病気になってしまった子のピンチヒッターとして来週の公演にも出るように言われた…。もっと早くデリーに来るって分かってたら、最初からメンバーに入れてたわよ、とまで。そんなディーディーの冷静さと優しさと、全然焦ってない感じを見てたら、何か色々大丈夫な気になってきた。益々ディーディーの不思議な力に憧れてしまう。


取り敢えず、ビザの更新をしに外国人登録所まで足を運んだことは書類に明記され、学校が内務省登録にされるまでは合法的なインド滞在になるそうなので、このままどうかうまくやっていくしかない。どれだけ時間がかかるのかあまり考えたくはないけれど…。(Day2へ続く)

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