Kala Saanjh - a unique blend of literature, poetry, music and kathak dance

今日は、国際交流基金ニューデリーセンター主催のイベント、「カラー・サーンジュ」に出演させて頂くという大変光栄かつ大きな挑戦の機会に恵まれました。

共演させて頂いたのは、これまでに芥川賞など多数の賞を受賞され、現在は日本とドイツでご活躍中のライター、多和田葉子さん。第1部は、多和田さんと、ヒンディー語作家のアルパナ・ミシュラーさんの対談。そして、第2部が、多和田さんの詩の朗読に合わせて、私が踊らせて頂くという二部構成でした。

最初にこのお話を頂いてから、オファーを受け入れるまで、1、2週間相当悩みました。そもそも私でいいのだろうか…というか、私にできるのだろうか…。さらに、多和田さんとリハができるのは、公演当日の数時間のみというリスクの高いコンディション付き…!信頼できる周囲の人に相談して、覚悟を決め、ディーディーに話を持ち掛けると、それまでの悩みが杞憂だったと思われるようなお返事。「...トー、トゥム カロー!!(そう。じゃぁ、やりなさい!)」の一言でした。

それから、詩を頂いてからが、また一難…というのも、少なくとも私(とディーディー)が想像していたのは、恋愛や自然、普遍的なテーマの詩だったのですが、なんと頂いた6つの作品は、我々の予想外で、言葉遊びが混じったり、日本語だったり、ドイツ語だったり、日英が混ざったりと、かなり前衛的な自由詩だったのです!

しかし、その反面、ワクワクする気持ちもありました。なぜなら、カタックは、もともと、古代からヒンドゥー神話や物語、人の心情を語り伝えることに起源とし、そこにスペキュタクラーなテクニックや繊細で優美な表現が加わって発展した舞踊なので、カタックには、どんな詩でも表現できる可能性があると信じていたからです。さらに、その詩が、アビナヤ(表現)の女王ディーディーにかかると、どんな風になるか、とても楽しみな気持ちもありました。また、フクシマや原発など日本の現状をテーマにした作品もあり、この詩だったら、日本人の私が表現する意味があるし、インド中に沢山いるカタックの上手なインド人ではない私にしかできない表現があると確信ました。

できるだけ原語のイメージを残しながら、それぞれの詩を英訳し、レッスンの後、ディーディーに相談。一緒に詩を読みながら、ほんの30分程度の間に、あっという間にあれよあれよとイメージが膨らみました。ディーディーの横で、この創作の過程を体験できたのは、かけがえのない体験でした。彼女が世界をどんな風に見ているのか、少し感じ取れることができたからです。そして、ミュージシャンに声をかけて頂き、多忙なディーディーとミュージシャンのスケジュール調整の結果、本番2日間で数時間の振付&リハ、その間に、マハーラージ師匠が一部、音楽に助言して下さりました。詩を朗読してくださる多和田さんとは、公演の数時間前にミュージシャンなしのリハ。

当日、ディーディーは他用で、デリーにいらっしゃらなかったので、期待のジュニア・ダンサーを1名、ミュージシャンの指揮&パラントに入れてくれました。彼女の統率力を見ていると、若いのにシッカリしていて年齢なんて本当に関係ないと思いました。もっと経験を積んで強くなろう、そう思わせてくれる子です。

初めてのソロ、初めての朗読に合わせたパフォーマンス、そして、ほぼ即興に近い本番。慣れないことばかりで、戸惑いと焦りの連続でしたが、共演者の多和田さんが、とてもフレキシブルな方で、カタックでの表現をとても気に入ってくださったので、非常にやりやすかったです。また、本番前に主催者の方からかけて頂いた言葉も、とても励みになりました。

本番前、本番中、本番後と、各ステージで自分の未熟さばかりが感じられ、これから色んな面で成長しないといけないと思いました。反省すべき点は数え切れませんが、温かい主催者の皆さんと、アカンパニーのミュージシャンの皆さんのサポートに助けられ、文字通り、何とか本番を終えることができました。

公演後、某ヒンディー語新聞社のダンス・クリティークと、全国放送のテルグ語番組のインタビュー取材を受けました。ディーディーに、取りあえず無事に終わった旨を電話で報告すると、とても喜んでくださりました!こんな小者の私に、チャンスを与えてくださって、周囲の皆さんには、本当にただただ感謝の気持ちで一杯です。

この公演は、私にとってクラスルームや、グループ・パフォーマンスの公演では学べないことを、沢山学ばせて頂く大変貴重な機会になりました。さらに、カタックという舞踊の新しい一面を考えるキッカケにもなりました。改めて、主催者の国際交流基金ニューデリーセンターをはじめ関わってくださった全ての方々、そしてこれまで私を育ててくれた全てのグルーに、心から感謝申し上げます。ありがとうございました。


↓第一部の対談

↓アカンパニストの皆さん:左から、ウトゥパル・ゴーシャルさん(タブラ)、ライズィング・スターのイリーシャ・ディープちゃん(パラント)、ワーリス・シャーさん(サーランギー)、キラン・クマールさん(バーンスリー)、ジャーヴェード・ハーンさん(スィタール)

アパルナ・ミシュラーさん、多和田葉子さんと↓

カタック・ダイアリー ♡ Kathak Diary

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