「中村屋のボース」

先日のトークで、日印の近代史が気になったので「中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義」という本を手に取ってみました。

中村屋といえば、新宿東口のの有名なレストラン。中村屋のインドカリーも、スーパーやコンビニの陳列棚に並ぶメジャーなレトルト・カレーですが、もともとパン屋さんとしてスタートした中村屋のメニューにインド・カリーが加わるキッカケになったのは、中村屋の相馬夫妻がイギリスから、インド独立運動家のラース・ビハーリー・ボースを匿ったことに由来するそうです。

この本では、当時の複雑な世界情勢や人間模様が、すごく面白くドラマティックに描かれていて、歴史が苦手な私でも小説を読むようにページをめくり続け、あっという間に読み終えてしまいました。学生時代の授業でも、この話題に触れていたことは覚えていましたが、ここまで日本とインドが深くかかわっていた劇的な歴史があったとは…!12年も前に出版されていたので、もっと早く読むべき本でした。

歴史的にイギリスとインドの関係は長く深く、南アジア系の移民が自分のルーツを辿ってインド舞踊を踊るならまだしも、日本人の自分が何でわざわざインドに住んでインド舞踊を…という疑問を、私はこれまで抱いていました。でも、この本を読んで、日本とインドの繋がりは、イギリスをはじめとするコモンウェルス諸国とは違うかたちではあるものの、意外と緊密だったことに驚きました。

また、ラース・ビハーリー・ボースが、母国の独立のために亡命し、当時の外交・政治的な情勢により、全く第三国であった日本に帰化せざるを得ない人生を送ったという事実から、結果は目的についてくることだから、国籍とかルーツとかはあまり深く考えすぎない方がいいのかも、と何か腑に落ちる部分がありました。

最後に、関連した映画を紹介します。もう一人のインド独立の志士、スバーシュ・チャンドラ・ボースを題材にした映画「Netaji Subhas Chandra Bose: The Forgotten Hero」も、第二次世界大戦終戦前の数年の日印の歴史に触れています。また、今年リリースされた「Viceroy's House」も、印パ分離独立独立を描いた映画でした。過ぎてしまった事実は一つですが、こうした映画や書籍は違う角度から色んな景色が見えることを教えてくれます。

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